長岡藩主牧野家資料のご紹介
資料1. 4代藩主牧野忠寿が使用した印籠
長さ4.9×幅4.9×厚さ2.0cm
東京都港区済海寺牧野家墓所出土(長岡市立科学博物館所蔵)
牧野忠寿(まきの・ただなが 1695~1735)は近江国(現在の滋賀県)膳所藩主本多家の出身で、3代藩主牧野忠辰(まきの・ただとき)の養子となり長岡藩4代藩主となりました。養父忠辰に敬意を払い、長岡城内に設けた「蒼柴霊神(あおしれいじん)」は、9代藩主牧野忠精(まきの・ただきよ)の時代に造営された「蒼柴神社(あおしじんじゃ)」につながります。
忠寿の墓には烏帽子(えぼし)・数珠(じゅず)・鏡・煙管(きせる)・矢立(やたて)・鋏(はさみ)・毛抜(けぬき)・刀子(とうす)等、身のまわりで使用した品物が多数納められていました。ここでご紹介している印籠のように、長岡藩の記録を調べてもなかなかわからない、藩主個人の趣味をうかがうことができる情報が牧野家資料には含まれていることは大きなみどころです。
資料2. 8代藩主牧野忠寛が使用した印籠
長さ6.9×幅6.0×厚さ2.0cm
東京都港区済海寺牧野家墓所出土(長岡市立科学博物館所蔵)
牧野忠寛(まきの・ただひろ 1736~66)の墓からは印籠が9点納められていました。いずれも紐が通る部分にあまり擦れたようすが見られないので、使用したというよりは、むしろ印籠が好きで集めたと言ってよいようです。図柄は「ウサギ」の他に「鶴」・「海老」・「桐」・「蝶」・「鳥」等があります。十二支の図柄を集めたというわけではないようです。
順次、このコーナーで御紹介しますので楽しみにお待ちください。
資料3. 8代藩主牧野忠寛の正室長姫が使用した漆器
径13.0×高さ8.0cm
東京都港区済海寺牧野家墓所出土(長岡市立科学博物館所蔵)
女性が身のまわりで使用し、大切な思い出の品として墓に納められたことがわかることも牧野家資料の魅力の一つです。牧野家の家紋は「丸に三ツ柏」ですが、長姫は実家の家紋「大岡七宝」の図柄を使用していることも注目されます。長姫の父、大岡忠光は、9代将軍德川家重の側用人として幕政に深く関与した人物としても知られていますが、そのような想いも込めてこの漆器を使用していたのでしょうか?
「大岡七宝」を御覧になって、「どこかで見たぞ!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。テレビ番組などでおなじみとなった江戸の名町奉行といわれている大岡越前守忠相と長姫の父忠光は遠い姻戚関係にあたります。身近な話題にどんどんひろがる魅力も牧野家資料にはたくさんあります。